LVMHの2024年度第1四半期決算について分析する。最大級のラグジュアリーコングロマリットであるLVMHの決算報告からは、ラグジュアリー市場の現状を読み取ることができる。 LVMH、第1四半期のオーガニック売上高は前年 […]
LVMHの2024年度第1四半期決算について分析する。最大級のラグジュアリーコングロマリットであるLVMHの決算報告からは、ラグジュアリー市場の現状を読み取ることができる。
LVMH、第1四半期のオーガニック売上高は前年同期比3%増
今回のニュース:LVMHは4月中旬、2024年度第1四半期の収益が前年同期比でわずかに減少したことを報告した。同社オーガニック売上高は3%増を記録したものの、収益は為替レートと、同社クルーズ船小売事業であるスターボード(Starboard)の売却による影響を受けた。スターボードはカーニバルクルーズライン(Carnival Cruise Line)、ロイヤルカリビアン(Royal Caribbean)、ホーランドアメリカ(Holland America)のクルーズ船で、ハンドバッグ、ジュエリー、美容関連品を販売している。
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決算分析:LVMHの2024年度第1四半期におけるオーガニック売上高の増加は、主にセフォラ(Sephora)を含む専門小売店および香水・化粧品カテゴリーの業績が良好だったことに起因する。香水・化粧品カテゴリーのオーガニック売上高は7%増、報告された売上高は為替の影響によるマイナス4%の影響を差し引いた上で3%増となった。
LVMH傘下のブランドのうち第1四半期の業績が好調だったブランドには、クリスチャンディオール(Christian Dior)、ゲラン(Guerlain)、フェンティビューティー(Fenty Beauty)、メイクアップフォーエバー(Make Up For Ever)が挙げられる。LVMHは決算発表で、以下の分野における拡大を特に強調した。
- ディオールは世界的にあらゆる商品カテゴリーで幅広い成長を遂げた。ルージュディオール(Rouge Dior)のリニューアルは、ディオールの化粧品カテゴリーの売上をけん引した。香水やスキンケアなどほかの商品カテゴリーは、ソバージュ(Sauvage)、ミスディオール(Miss Dior)、キャプチャー(Capture)が押し上げた。
- ゲランは自社の香水およびスキンケアカテゴリーで、アクアアレゴリア(Aqua Allegoria)やアベイユロイヤル(Abeille Royale)の新商品をローンチし、これらのカテゴリー拡大に成功した。
- フェンティビューティーはセフォラとの提携により、中国市場への展開を拡大した。
- メイクアップフォーエバーは、HDスキンスター(HD Skin Star)シリーズに、HDスキンハイドラグロウ(HD Skin Hydra Glow)を新商品として追加し、商品ラインナップの展開に成功した。
セフォラは北米、欧州、中東で継続的な成長を遂げるとともに、特に北米での店舗拡大も相まって、年初から好調なスタートを切った。環境への取り組み「Clean at Sephora」および「Planet Aware at Sephora」は全世界で開始され、同ブランドのシグネチャーである「私たちは美しいものに属する(We belong to something beautiful)」もより多くの地域に広がった。
[原文:Research Briefing: Specialty retail, fragrances and cosmetics drive organic growth for LVMH]
DANIA GUTIERREZ(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:都築成果)