「世界一まずいジャム」とも言われる「ベジマイト」を身近な食材で再現してみた奮闘記

by Janeen

ベジマイトとは主にオーストラリアで生産されている発酵食品で、主な成分にビール醸造の副生成物であるイースト菌抽出物が含まれているため、独特の風味をもっています。そのため「世界一まずいジャム」とも言われるベジマイトですが、一方で「ベジマイトが嫌いならオーストラリア人ではない」と言われるほどオーストラリアでは一般的な商品です。オーストラリア出身で北ヨーロッパのエストニアに住んでいるエンジニアのデイビッド・ミリントン氏が、「ベジマイトとはどのような食品なのか?」ということを解明するべく、ベジマイトの味を実際に再現した結果を報告しています。

Adventures Making Vegemite ⸺ Dave on Design
https://daveon.design/adventures-making-vegemite.html


ベジマイトは刺激的な香りと独特の風味を持ち、うまみが強くて塩辛いペースト状の調味料で、ジャムのようにトーストに載せて食べることが多いです。塩辛い味わいや発酵食材が主な成分であることから、ミリントン氏は「固体になったしょうゆに近い」と表現しています。イギリスにもトーストに塗って食されるマーマイトというビール酵母製の食品があったり、ドイツやスイスでも同様の食品が見られたりと近いものが好まれることはありますが、ミリントン氏によるといずれもベジマイトの風味や食感とは異なるそうです。

by RHiNO NEAL

調理法や食材について伝えるアン・リアドン氏のYouTubeチャンネルであるHow To Cook Thatは2024年2月末ごろ、「ベジマイトには何が入っているの?」というムービーを公開しました。ムービーでは、ベジマイトに親しんだオーストラリア出身の人たちに話を聞きながら、酵母エキスと調味料を組み合わせながらベジマイトの味を再現しています。

What is really in vegemite? - YouTube


リアドン氏のムービーではベジマイトの成分表を見ながら味を調整した結果、オーストラリア出身の人々から「ベジマイトとほぼ同じ味です」と評価を受けることに成功しています。しかし、調味料をどれくらいの分量で調合したかという正確なレシピは紹介していないため、ミリントン氏はマーマイトを好むイギリス出身の友人とともに、ベジマイトの作成を試みたとのこと。

ベジマイトの生成にまず必須なのがビール酵母。リアドン氏は自家製の遠心分離機でビールから酵母を分離していましたが、ミリントン氏は友人の冷蔵庫で数日間放置されたビールの上澄みを煮詰めることで、濃い茶色のシロップを作成しました。この時、「最初、キッチンは熱せられたビールのような匂いでしたが、すぐにベジマイトのようだと認識できる匂いに変わりました」とミリントン氏は話しています。


0.5リットル以上のビール酵母スラリーから、大さじ2、3杯程度のシロップができたため、ここに少しずつ味付けしていきます。このシロップは「ベジマイトの風味は感じるが、ビールのホップが影響しているのか、かなり苦い」状態だったそうです。それとは別に、殺菌された糖蜜で発酵させた酵母であるニュートリショナルイーストのパウダーを温水と混ぜてみたところ、「ベジマイトではないが、ベジマイトの味はする」何かが完成。以下の画像は、左がビールから作った酵母シロップで、右がニュートリショナルイーストの甘いペースト。


酵母スラリーの小さじ3杯程度に、小さじ半分程度の麦芽とたっぷりの塩を加え、そこにニュートリショナルイーストのペーストを小さじ1杯ほど混合。ベジマイトはとても塩辛い味のため、そこから塩を多めに加えながら調整していきました。

完成したペーストは「ベジマイトとまったく同じ味とはいえないが、かなり近い、マーマイトそのものといえる味わい」だったそうです。ミリントン氏は「塩の強い衝撃がまずあり、その後マーマイトの独特な風味が広がります。わずかに苦い味が奥にあり、後味はまさにベジマイトでした」と感想を語っています。また、オリジナルベジマイトの作成を手伝ってくれた友人たちは「かなりマーマイトやベジマイトに近い味です。本物はもう少し苦みがあるかもしれません」と感想を述べました。


以下の画像は、2枚のトーストに4種類のペーストを塗ったところ。左からマーマイト、ミリントン氏らが作ったもの、別のチェコ人の友人が作ったという味はまったく違うが色の濃さはベジマイトやマーマイトに似ているうまみスプレッド、一番右はニュートリショナルイーストのペーストをそのまま塗ったもの。この画像でわかるように、味はベジマイトおよびマーマイトに近いものの、ミリントン氏らが作ったペーストは色合いがかなり異なっています。


ベジマイト(Vegemite)は「Vege-」と付いているように、セロリやタマネギといった野菜(vegetable)の抽出物も入っており、それが色合いや味わいに影響を与えている可能性があります。今回の調理ではそういった種類の味付けは試していないため、ミリントン氏は「次の機会には、今回のレシピからビールの種類を検討した上で、セロリソルトとオニオンパウダーを加えた形を試してみたいと思います」と目標を述べました。また、ミリントン氏は今回のチャレンジを受けて、「食べ慣れた味を細かく再現してみることで、そもそも人々がどのようにしてこのようなものを発明したのか、興味をそそられました」と語っています。

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in 動画,   , Posted by log1e_dh

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